ウィッグの人毛と化繊毛の違い

ウィッグを楽しむために
つきみ
つきみ

ウィッグのお仕事歴15年。普段は下は5歳〜上は80代まで幅広い年代の方のウィッグの作成や修理、ウィッグご愛用者様の自毛のメンテナンスなどをしています。これまでの経験で得た知識やお客様との会話をもとに、ウィッグが楽しくなるような情報をお伝えします!

いざウィッグを購入しようと思った時に悩むのがウィッグの髪質です。

ネット通販などのカタログには「人毛100%」や「化繊毛」「耐熱ファイバー毛」「ミックス毛」などの文字が並びますが、特徴などの説明はそれほど詳しく書いてありません。

ではどうやって選んでいけば良いのでしょう??

ここではそれぞれの髪質に分けてメリットとデメリットをお伝えしていきます。比較することでウィッグ選びがとても楽になると思います。ぜひ自分好みのウィッグを手に入れてくださいね。

人毛100%の特徴

全て人の髪の毛で作られたウィッグです。現在市場に出ている商品の人毛は、日本国内ではなく海外で用意されたものがほとんどだと思います。日本人の髪の毛に色も質も近いアジア圏のものです。

メリット、、、見た目がとても自然で、自毛のように扱えるのが最大の特徴です。「パーマ」「カラーリング」「縮毛矯正」などの薬液処理が可能なため、なりたいヘアスタイルに近づけることができます。例えば、抗がん剤の治療による脱毛の場合、元々の髪質がクセ毛だった人は、そのようにパーマをかけることでウィッグをつけても周りにバレる心配がありません。

デメリット、、、高価なものが多いです。理由は素材の準備の大変さにあります。長さ30センチの人毛100%のフルウィッグ(全頭用)を作る場合、最低でも40センチ以上の髪の毛が必要です。1回のカットでは全頭分作れないため、同じような長さの髪を3〜4人から提供してもらう、といったイメージです。

ミックス毛の特徴

最近よく見かけるのが人毛と化繊毛とを両方混ぜた、ミックス毛と呼ばれる商品です。結果から言うと、ミックス毛が見た目やお手入れの観点から1番扱いやすいのかもしれません。

メリット、、、化繊毛の不自然なツヤ感などは人毛がカバーしてくれ、人毛のうねりや褪色は化繊毛がカバーしてくれる、というふうにお互いのデメリットをカバーし合っています。ヘアアイロンを使えるものも多いので、スタイリングを楽しむこともできます。

デメリット、、、ひとくちにミックス毛と言っても、どの部分にどの割合で人毛が入っているのかがとても重要です。全体的に混ざっているものもあれば、襟足部分にだけ人毛が使われているものもありますのでそこは注意して説明欄をよく見てみましょう。メーカーや販売者に直接問い合わせてみても良いと思います。

化繊毛の特徴

化繊毛と言っても「化繊毛」「耐熱毛」「ファイバー毛」など、その表記のされ方はさまざまです。「人毛」の文字がどこにも無ければ化繊毛100%のウィッグになります。人の髪の毛に似せて作られた繊維で、大手ブランドでは独自に開発もしています。

メリット、、、人毛とは違い、使われている素材が化繊なので髪のうねりや経年劣化による褪色がありません。シャンプー後は自然乾燥でもきちんとまとまってくれるのでお手入れがしやすいと言う声も多いです。最近では髪色も豊富で、わざとプリン色に作られているものまであります。

デメリット、、、見た目のツヤが不自然に感じるものがあります。制汗パウダーなどがある程度ツヤ消しになってくれるそうですが、毎回これをやるのはちょっと大変かもしれませんね。他には、経年劣化で毛先や襟足部分の毛がチリチリになってきたり、ヘアアイロンでのスタイリングがキープしにくいなどがあります。

まとめ

市場に出回っているウィッグの数は人毛100%のものが圧倒的に少ないです。前述したとおり、材料のコスト面の負担が大きいのが理由と考えられます。みなさんがご存じの大手ウィッグメーカーでも最近は独自で開発した化繊毛を使用したものがほとんどです。(もちろん大手でも人毛で作ることはできますが、お値段は手のひらサイズで40〜50万円ぐらいするかもしれません)

もし金銭的に余裕があるならやはり人毛が入っている方が良いでしょう。襟足部分にだけ使われているものでも、ここがチリチリにならないだけでストレスはかなり減ります。

見た目やヘアスタイルの自由さなどの観点から言えば、人毛100%のウィッグに縮毛矯正をかけてあげるのが最強かなと思います。縮毛矯正をかけると、人毛のデメリットである髪のうねりが解消されるため、お手入れがとても楽になります。

ネット通販で購入される際は説明欄をよく読み、よくわからない時には問い合わせてみても良いと思います。交換や返品できるところがオススメです。店舗で購入される時は店員さんに気になるところはどんどん質問してみましょう。気に入ったウィッグが見つかりますように!