人毛ウィッグのメリット、デメリット

ウィッグを楽しむために
つきみ
つきみ

ウィッグのお仕事歴15年。普段は下は5歳〜上は80代まで幅広い年代の方のウィッグの作成や修理、ウィッグご愛用者様の自毛のメンテナンスなどをしています。これまでの経験で得た知識やお客様との会話をもとに、ウィッグが楽しくなるような情報をお伝えします!

ウィッグ(かつら)に使われる髪の毛には「人毛」と「化繊毛」の2種類があります。「ミックス毛」と呼ばれるものは、ひとつのウィッグに人毛と化繊毛の両方が使われているものになります。

「人毛」も「化繊毛」もそれぞれにメリットとデメリットがあり、ウィッグを選ぶ際の大きなポイントになります。「なんだこれ聞いてないよー(泣)!」とならないように、購入前にある程度知識を入れておきたいポイントです。

では、それぞれ一体どんな違いがあるのでしょう??

ここでは人毛ウィッグについて詳しくみていきます。ぜひ参考にしてくださいね。

⭕️見た目の自然さはピカイチ

なんと言っても1番のメリットは見た目の自然さです。

工場で作られる時にキューティクルの処理や色の調整、毛髪表面のコーティングなどを施しますが、もともとが人の髪の毛ですからそれらの加工があったとしても仕上がりはとても自然です。

ウィッグなので経年劣化でちょっとずつダメージも出てきますが、年齢によっては少しダメージがあったほうが実は自然さが増して良いこともあります。

例えば、20代と50代では同じウィッグをつけた時の見え方が違ってきます。ウィッグは購入時は毛量もしっかりあり、自然とはいえ充分なくらいのツヤがあります。

男性も女性も年齢と共に髪の毛は細くなり、毛量も減ってきます。このため少しダメージがあったほうが見た目がしっくりくるのです。年齢が上がるほど、ここに気をつけなくてはいけません。

⭕️パーマやカラーなどの薬液処理ができる

人毛ウィッグはパーマ、カラーリング、縮毛矯正などの薬液処理ができるため、なりたいヘアスタイルにかなり近づけることができます。もできます。もちろんヘアアイロンやホットカーラーも使用できます。

例えば抗がん剤治療によるウィッグの準備では、脱毛前のヘアスタイルにかなり近いものを作ることができます。クセ毛の方なら自毛に似たパーマをかけたり、カラーをされていた方なら同じような色に染めてることが可能です。脱毛前と同じようなヘアスタイルに作っておくことで、ウィッグにスイッチしても周りにバレにくいというメリットがあります。

人毛ウィッグは使用しているうちに髪色が明るく褪色してくることがあるのですが、その場合にもカラーメンテナンス(染め直し)ができるのでとても便利です。

⭕️自由にヘアアレンジができる

ヘアアイロンやホットカーラーなどの熱処理も可能です。

ヘアアイロンの使用温度は130度〜180度がオススメです(人毛の場合)。ダメージを抑えるためにも必ず乾いた状態の髪に洗い流さないトリートメントをつけてからアイロンをあてるようにしましょう。

毛先を跳ねさせたり、カールやウェーブなどの動きをつけられるので、アップスタイルやハーフアップ、外はねボブなどいろいろなヘアアレンジを楽しむことができます。

結婚式や卒入学式などの華やかなシーン用に、見た目の自然さと自由にスタイリングができる人毛ウィッグをひとつ準備しても良いと思います。写真を撮るときも頭部を気にすることなく笑顔になれますよ!

❌高価なものが多い

人毛100%ウィッグは10万円以上するのが一般的です。抗がん剤治療による脱毛の場合には2〜3万円ほどの助成金が出ますが(各自治体によって金額が変わります)、それでもやはり個人負担は大きくなります。しかし、最近はネット通販で10万円以下で購入できる人毛100%ウィッグも出てきました。ちなみに、大手ウィッグメーカーで人毛だけのフルウィッグを購入する場合ヘタすると3桁万円の商品を勧められることも珍しくありません。大手へ行く前にぜひインターネットで「人毛ウィッグ フルウィッグ 医療用ウィッグ ヘアピース」などで検索し、チェックしてみることをオススメします。

❌慣れるまでお手入れが大変

人毛ウィッグは素材が人間の髪の毛ということもあり、シャンプーの時に注意しなくてはいけない点や自然乾燥だけでは髪の毛がうねってきたりと、初めての方には少し戸惑うことがあるかもしれません。化繊毛ウィッグから人毛ウィッグに変えた時に1番最初に壁になるのもココです。

人毛ウィッグをシャンプーする時には水道の蛇口やシャワーヘッドのすぐ下では行わず、まずは洗面器や洗い桶などに水またはぬるま湯を張ります。そこへシャンプーを入れ、その中で目の粗いブラシなどで優しく髪をとかすようにして洗います。

そしてシャンプー後はできるだけドライヤーできちんと乾かしてあげましょう。髪のうねりがひどく、乾かしただけでは広がってしまう場合にはストレートヘアアイロンを使うと落ち着きます。毎回これをやるのが面倒な時には、一度縮毛矯正をかけるのがオススメです。

縮毛矯正をかけるとシャンプー後はドライヤーで乾かすだけで髪の毛がストンとまとまってくれるのでとても扱いやすくなります。

❌次第に髪色が明るくなってくる

人毛ウィッグは使用していると段々と髪の色が明るく褪色してくることがあります。これはどのブランドでも起こりうる現象です。

原因は髪の毛が受けるダメージです。

髪の毛が傷む原因は、お肌と同じ乾燥と紫外線です。また、ドライヤーやヘアアイロンの使い方も大きく影響します。褪色は経年劣化のひとつですが、こまめに洗い流さないトリートメントをつけてあげたり、紫外線が強い時期にはUVスプレーなどをしてあげたり、毎日のちょっとしたお手入れでダメージの進行具合がかなり変わってきます。

また、人毛なので暗い色に染め直してあげることも可能です。

まとめ

自毛ウィッグの人気の秘密は、やはり見た目の自然さです。人毛ウィッグだけをリピートされている方もとても多いです。最近はフルウィッグでもかなり手頃なお値段で購入することができ、使う前に長さや毛量を調整してあげることで、まるでオーダーメイドのような仕上がりになりますよ!

一方で「扱いにくい」との声もよく聞きます。これは人毛特有の髪のうねりや広がりによるもので、縮毛矯正をかけてあげることで解消されます。ヘアアイロンでも伸ばしてあげることはできます。その際には必ず「乾いた状態の髪」に「洗い流さないトリートメントをつける」ことを忘れずに!

普段は化繊毛ウィッグを使用し、結婚式やイベント用には人毛ウィッグを、、、という使い方でも良いと思います。お着物やパーティドレスのシーンでは、ウィッグでもどんどんヘアアレンジを楽しみましょう!